レッスン中、曲の中で出てくるいろんなフレーズをどう吹くかという話をする時に、私のボキャブラリーでは表現しきれない事が多々あります。そういう時は実際に演奏して真似してもらうしかないのですが、アウフタクト感の出し方やマルカートなど、ほんの一瞬の間に色々なコントロールをして初めて演奏が成り立っているので、インテンポで聴いていただいても伝わりづらいもので…。
そのため、該当箇所をものすごくゆっくり演奏して、何をどうコントロールするのかを説明するようにしています。しかしこれは非常に難しく、最大限に神経を使う作業です。
例えば。「星条旗よ永遠なれ」を、冒頭からとんでもなく遅いテンポで演奏すると仮定します。マルカートやスタッカートの長さなどを丁寧に再現しつつ、遅いテンポであっても音楽の躍動感が無くならないように演奏しなければなりません。インテンポで演奏するよりはるかに難しい。こちらにとっては拷問です、、、
でもこの、吹きにくいことこの上ないテンポで音楽的に吹く、というのは生徒さんにとっても非常に勉強になると思います。特に古典やバロックなど、シンプルな曲ほど難しいです。テンポが速いだけでサマになってしまう部分もありますからね…
こういうことに、昔は気付いていませんでした。しかし今はゆっくり練習する事の大切さと、その効果の絶大さを感じています。
一番はやはりモーツァルトを吹くとき。現在あるオケでモーツァルトのコンチェルトのソロを吹くことになり、先日1回目のオケ合わせがありました。私は運が良くて、今までにコンチェルトを3、4回経験させてもらいましたが、「あー…なんでこんなに難しいんだろ」と思うことばかり。譜面ヅラはそんなに難しくないし、吹けるはずなのに、オケと合わせると何故かバグる自分…
今回吹くC-Durは今までのものより技術的に簡単ではありますが、それにしても今までソリストを務めた時よりも、遥かにパフォーマンスが安定しているのを実感しています。そしてオケやハープがどんなテンポで来ようとも、順応出来るようになったのです(今更…笑)。これはやはり、スローモーション奏の賜物だと思います。みなさまも是非、遠回りだと思わずにゆっくり練習してください。速く吹く練習をたくさんするよりも、確実に効果があります!