「フルートのコツ」カテゴリーですが、今日はピッコロのお話。正直に言いますと、私はあまりピッコロが得意な方ではありません。子供の頃はかなり無理矢理吹いていましたし、高音域の♭シより上がどうしても苦手でした。しかし大学を出てから、ヨーロッパのプロ奏者の音色や若者たちの音色を聴いて、ピッコロの良さを再認識してからは、比較的まじめに練習するようになりました(笑)こんな可愛い音が出るんだ…自分も出したいな、そう思ったからです。
しかし、ピッコロの高音域に一旦苦手意識を持ってしまうと、なかなかそれを塗り替えるのは難しいもので、練習するほど本番でハイトーンが当たらなくなってしまうことも。それにあんまりピッコロを習う機会は無いので、フルートの延長みたいに練習してしまいがちですが、「似ているけど違う楽器」だと思った方が良い場合もあります。

おススメは、まず自分の理想に近い音を出す人の演奏を聴くこと。目指す音のビジョンを持つことです。そしてピッコロはピッコロで、基礎練習が非常に大事です。

最近見つけたハイトーンのコツは、ズバリ「基音」の響きを意識する事です。基音というのは、フルートやピッコロで言うところの1オクターブ目の音(倍音奏法をしていない音)です。どうしても高音域の♭シから上になってくると、ある程度ピッコロに慣れている人でも難しいです。しかし苦手だからといって、その高音域だけを酸欠になりそうな息の吐き方をして当てようと練習するのは、ちょっと遠回りです。
どんなに高い音でも、何かの倍音です。例えば3オクターブ目の♭シの音を練習する時は、まず1オクターブ目や2オクターブ目の♭シを充実した良い響きで吹けるようにします。その時の響きのツボを意識した状態で、3オクターブ目の♭シを吹くようにします。ただ闇雲に息を吹き付けたり、アンブシュアを締めたりするのではなく、響きの狙いを外さないようにすると当たりやすくなります。特に2オクターブ目から3オクターブ目へ、レガートで上がる練習はかなり効果的でした。シや4オクターブ目のドも、同じようにオクターブ下の響きのツボを意識して吹いてみてください。
逆に言えば、1〜2オクターブ目の音で良い響きを得られていない場合は、いくら頑張っても(とーっても良い楽器をお持ちの場合は違うかもしれませんが)高音域を攻略するのは難しいでしょう…。焦らず低い音の響き作りから積み上げましょう。

今回はかなり抽象的な表現を使いましたが、ある程度楽器を吹いている方なら分かっていただけるかと…。どんなに高くて到底出そうにない音でも、何かの倍音である事を忘れずに。そしてそこにヒントがあります…!