先日、かつてお世話になったフランス人のフルート奏者、ジャン・フェランディスのマスタークラスとリサイタルを聴きました彼のレッスンを受けたのはもう3、4年も前ですが、いまだに彼から教えてもらったことは大切にしています。彼の音を聞くのも久しぶりでしたが、やっぱり素敵…
 彼がいつもレッスンで言うのは、ナチュラルで居なさい、ということ。そして、ひたすらナチュラルを求めて体を動かしたり、いろいろなイメージを伝えます。
 初めて自分が彼のレッスンを受けた時、最初は戸惑いの方が大きかったのを覚えています。しかし、次第に「フルートってこんなに楽に吹くものだったのか!」ということに気付きました。
 私も何人もの先生に習いましたから(年単位でお世話になった人から、1回しか習っていない先生まで様々ですが)、今までにいろんなことを言われてきました。足はしっかり、お腹に力を入れて、肘は90度、姿勢を良く!(←これが最も良くない笑)……しかしその時は良い気がしても、すぐ忘れてしまっていました。けれど、これほど言いたいことがシンプルな人は初めて。だからこそ今でもハッキリ覚えているのかもしれません。
 フルートを吹くことは目的ではなく手段にすぎません。でも、音大のようなところに篭って、周りの笛吹きと小さな小競り合いをしていると、本来の目的を見失います。本当は音楽をしたい、メロディを奏でたいだけなのに、いつの間にか大きな音でバリバリ吹くことが目的になってしまいます。
 誰の耳にも優しい、自然な音楽を奏でるためには、それを奏でる身体が自然でなければならないーーナチュラルでいると、指も動きやすいし息も持ちます。生徒さんのレッスンの時も、自分が吹いている時も、とにかくそれを一番大事にしていきたいですね