なかなかゆっくりブログを書く時間がなく、更新が飛び飛びですみません7月から本格的に吹奏楽コンクールシーズンが始まるため、今のうちにしておきたい作業があり・・・ 。

 さて、今日はフルートを吹くときに唇(正確にはその周りの口輪筋)に力が入りすぎて、力を抜きたくても抜くことができず、 硬くなってしまうという症状について。私自身も、大学でフルートを学んでいる頃そのような症状がありました。来るところまで来てしまった頃、本番前日の練習は30分以下にとどめ、当日も極力吹かないで過ごして本番をなんとか吹き切る、という感じでした。本番中も最初はそこそこ音が出ているのですが、曲の最後に向かうにつれてアパチュア(唇の間にできる穴)が締まる一方で、最後まで吹いた後はもう吹けない、という程に唇の周りが疲労する始末。もちろん自分でも唇の周りの筋肉を使いすぎていることに気付いていましたし、その頃の先生にも「上唇の力を抜いて」「柔らかく」と言われていましたが、「そんな事は分かっているし、できりゃ苦労しないんだよ』と内心は激おこでした(笑)そんなこんなで、大学4年間は唇が硬くなるという症状との付き合いでほとんど終わってしまいましたね。 
 無論どうしたら良くなるかを四六時中考えていました。何かをちょっと変えたら一瞬良くなって希望の光が見えても、数日でまた調子を崩し・・・音がかすりもしなくて、フルートには向いていないのかもしれないと半ベソの日もありました そこで気づきました。ちょこちょこ角度やら何やらをいじっても無駄である、ということに。


 この、唇を張りすぎて緩められないという状態を改善するためには、そもそもなぜ唇を締めてしまうのか、ということを考えます。例えばアンデルセンやケーラーなど、エチュードを1曲吹くだけで唇がコントロール不能になってしまうという場合は、必要以上に唇を締めてしまっている可能性が高いです。「唇を締めなきゃ、締めよう」という指令が脳から発令されるのは、息にスピードをつけたいと思うからです。確かにフルートを吹くときに息を効率よく音にする為には、息を圧縮してスピードをつけてあげる必要があります(特に第2倍音以上)。
 アパチュアを小さくすれば当然大きい時よりも呼気のスピードは上がります。 ホースの水を思い浮かべていただければ容易に想像できます。先端をつまむと水の幅が狭くなる代わりに水の勢いは増しますよね。しかし私の経験上、人間の唇周りの筋肉はホースほど強くはなく、息を圧縮する役割を100%負わせてしまうと途中で制御不能になってしまうようです。
 そこで、アパチュアを小さくする以外に呼気を圧縮する方法は無いか、と考えたときに皆さんに思い出して欲しいのは「口の中」です。口の中は広くすべきか、狭くすべきか、先生によってはレッスン中に言及します(以前このことについてすこーしだけ書いています)。しかし口の中の広さの感覚というのは個人差があるのでしょう、表現の仕方によっては間違った捉え方をされてしまうこともあるようです。私自身は高音を吹くときに「広く」と言われたことが数回あります。
 「口の中の広さ」とはそもそも何なのか?ですが、顎を動かして開けたり締めたりすることによって変わる、というよりも私は「舌の位置」だと思っています。舌と上顎の間を呼気が通って来るので、その距離によって当然呼気スピードは変わります。 アパチュアを締めないと吹けない、という状態に陥っている生徒さんは、大体口の中が広すぎる傾向にあります(私も昔はそうでした)。このような方には、まず「ふーーー」とか「ほーーーー」と吹くのはやめてもらい、「へーーー」という感じで吹くように言います。一見ふざけているのですが、勘の良い方なら「母音」が違うということにお気づきいただけると思います。厳密には日本語の「え」では無いかもしれません、これはあくまで目安です。そして、すべての音に「へーーー」が当てはまるわけでもありません。それを判断するのは吹いているご自身です。ときには違う母音の方が良いかもしれないし、少なくとも日本語の母音の数では対応しきれないほど微妙なものです。

 学生の頃は、世のプロ奏者たちが涼しい顔をして協奏曲を最後まで吹いているのを見て、何で最後まで唇のコンディションを崩さずに吹けるのか、謎で仕方がありませんでした。きっとものすごい鍛錬を積んで、唇の周りの筋肉を鍛えているんだろう・・・と。もしかしたらそういうこともあるのかも?しれませんが、今はきっとそれだけじゃ無いと思っています。自分自身が口の中のことを考えてから唇にかかる負担を大幅に削減できたという経験をしましたし、一見口の中を意識する方が難しそうだと思うかもしれませんが、唇の閉じ具合で音をコントロールするよりよっぽど簡単で、且発音のミスも格段に減りました。 

 このことはつまり、タンギングのシラブルの問題にもつながり、効率よく質の良い音を出すためにはタンギングがかなり重要な要素になってくるわけです。 。。実は私このタンギングのシラブルの問題について、大学院を修了するときに論文を書きまして、これを語り出すと論文1冊分になりかねないので、ここら辺にしておきます(笑)